前提:重要な情報は端末に置かない
総務省のテレワークセキュリティのチェックリストには、テレワーク端末に原則として重要情報を保管しないよう周知するという項目があります。社用スマホでも同じで、顧客の連絡先や業務の写真、チャットの記録は、会社が管理するクラウドやサーバーに置き、端末側は表示と入力に使う形にすると、バックアップの対象そのものが小さくなります。
データの種類ごとの置き場所
| データ | 置き場所の例 | 端末を替えたときの戻し方 |
|---|---|---|
| 連絡先 | 会社のメール・グループウェアの共有アドレス帳 | アカウントにサインインすると同期 |
| 業務の写真・書類 | 会社契約のクラウドストレージ | アプリから再取得。端末内のカメラロールに残さない |
| チャット | 会社契約のビジネスチャット | サーバー側に履歴が残る設定か確認 |
| 認証アプリ・パスキー | 端末に強く結び付くため個別に計画 | 復旧用コードの保管場所と再登録手順を決める |
見落としやすいのが多要素認証です。認証アプリが入った端末をなくすと、業務システムにログインできなくなります。管理者が再登録できる手順と、本人確認の方法を事前に決めておきます。
私物のクラウドに流れないようにする
iPhoneやAndroidは、初期状態では個人のアカウントで写真や連絡先をクラウドに同期できます。社用スマホでこれをそのまま使うと、退職後も業務データが個人のアカウントに残る可能性があります。Androidの仕事用プロファイルでは仕事用アプリとデータが個人用と分けて管理され、プロファイルを削除するとその中のデータが消えるとGoogleのヘルプに記載があります。iPhoneでは、管理対象のApple Accountやデバイス管理サービスの設定で、同期できる範囲を会社として決めることになります。
消す操作と残る範囲を把握しておく
MicrosoftのIntuneの説明では、「ワイプ」はすべての個人データと組織のデータ、アプリ、構成を消して工場出荷時の状態に戻します。一方「廃止」は会社が管理するアプリやデータを外す操作で、個人データは消えません。バックアップを考えるときは、どの操作でどこまで消えるかを前提にして、消えて困るものが端末だけに残っていないかを確認します。
復元の手順書に入れる項目
- 新しい端末の受け渡し方法(予備機か、新規手配か)
- 会社アカウントへのサインイン順(メール、チャット、ストレージ)
- 多要素認証の再登録を誰が承認するか
- 電話番号が同じ場合と変わる場合で、取引先への連絡が必要か
- 旧端末の初期化・回収の記録
よくある迷いと考え方
端末の丸ごとバックアップは不要か。会社のクラウドに業務データを置く設計なら、端末ごとのバックアップは必須ではありません。ただし、取引先とのやり取りを端末のSMSでしか残していない、現場写真を端末にだけ保存している、といった運用が残っていると、端末を失ったときに記録も失います。まずは業務データが端末にだけ存在していないかを部署ごとに聞き取ります。
修理に出すときはどうするか。ドコモの修理受付の案内では、修理受付時にデータは保存されないため事前のバックアップが必要とされています。業務データがクラウドにあれば、修理前に特別な作業をせずに済みます。
部署ごとの聞き取りでは「その端末がなくなったら、何が取り戻せないか」と質問すると、端末だけに残っている記録が見つかりやすくなります。答えが出たものから順に、会社のクラウドへ移します。
復元の手順書は、実際に1台で試して所要時間を測っておくと、紛失や故障のときに業務が再開できるまでの見込みを利用者に伝えられます。
相談先・申込先の選び方
バックアップの方式は、端末の契約先ではなく、会社が使うクラウドサービスやMDMで決まる部分が大きくなります。携帯会社や販売店に相談する場合は、MDMやクラウドストレージを回線とまとめて契約できるか、データ移行や初期設定の作業費がいくらかを見積もりで確認してください。紛失時の初動は社用スマホを紛失したらにまとめています。
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台数・回線種別・端末の希望を決めてから2社以上に見積もりを依頼すると、月額と初期費用を同じ条件で比べられます。
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出典(2026年10月14日確認)
- 総務省「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」第3版(令和4年5月)PDF
- Android Enterprise ヘルプ「Android の仕事用プロファイルとは」
- Microsoft Learn「Microsoft Intune でデバイスをワイプする」
- Microsoft Learn「デバイス アクション: 廃止」(Intune)
- IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版と付録
- NTTドコモ「修理期間中の代替機利用について」
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同じ前提で比べると、違いを確かめやすいよ。