休日に社用携帯の電話に出る必要はある?
休日に社用携帯の電話に出なければならないかどうかは、法律に一律の定めがあるわけではなく、就業規則や労働契約の内容、会社が休日の対応をどう指示しているかによって変わります。会社が休日に電話対応をさせる場合は、休日労働の手続きや労働時間の扱いが問題になるため、指示の内容をはっきりさせておくことが大切です。
厚生労働省の「労働時間・休日」のページでは、使用者は少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと説明しています。法定の休日に働かせるには、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数を代表する者との労使協定(いわゆる36協定)で休日労働について定め、行政官庁(労働基準監督署長)に届け出る必要があるとされています。
社用携帯を休日も持ち帰らせる会社では、「休日に電話が来たら出る」のか「出なくてよい」のかを社員が判断できる状態にしておかないと、待機や対応の時間の扱いがあいまいになります。自社の規程が法令に照らして問題ないかは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。
休日に電話を待つ時間は労働時間になる?
休日に電話を待つ時間が労働時間になるかは、待っている間の拘束の程度で判断が分かれます。厚生労働省のガイドラインは、指示があればすぐに業務に就くことを求められ、労働から離れることが保障されていない待機の時間(手待時間)を労働時間として扱うべき時間に挙げています。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、労働時間を使用者の指揮命令下に置かれている時間とし、該当するかどうかは就業規則などの定めではなく、労働者の行為が使用者から義務づけられていたかなどの状況から個別具体的に判断されるとしています。
最高裁判所第一小法廷の平成14年2月28日判決は、ビル管理会社の泊り勤務中の仮眠時間について、仮眠室での待機と警報や電話への対応が義務づけられていた事情から、労働からの解放が保障されておらず労働時間に当たると判断しました。この判決は職場での泊り勤務の事案で、自宅などで休日に社用携帯を持っているだけの場合にそのまま当てはまるとは限りません。
| 休日の状況の例 | 確かめたい点 | ガイドラインの考え方に照らした見方 |
|---|---|---|
| 電話が来たら必ず出て、すぐ対応するよう指示されている | 応答の義務、すぐに業務に就く必要、行動の制約 | 手待時間の説明に近く、労働時間と評価される可能性がある |
| 出るかどうかは任意で、翌営業日の折り返しでよいと決まっている | 実際に応答を求められていないか、出ないと不利益があるか | 指揮命令下と評価される事情は少ないが、実態で個別に判断される |
| 電話に出て、顧客対応や社内への指示をした | 会社の明示または黙示の指示による業務か | 指示による業務に従事した時間は労働時間に当たるとされる |
表は一般的な考え方の整理で、個別の事案の結論を示すものではありません。実際には待機の頻度、呼び出しの多さ、場所の制約など、事案ごとの事情を合わせて判断されます。
休日に電話で対応した時間は労働時間?
会社の明示または黙示の指示によって休日に電話で業務を行った時間は、労働時間に当たると考えられています。厚生労働省のガイドラインは、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たると書いています。
最高裁判所第一小法廷の平成12年3月9日判決も、労働時間は労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、労働契約や就業規則の定めで決まるものではないと判断しています。休日の電話対応を「規程上は労働時間ではない」と書いていても、実態として会社の指示による業務であれば、労働時間として扱う必要が出てきます。
会社としては、休日に電話対応をした社員が、対応した日時と時間を記録して申告できる手順を用意しておきます。法定の休日の対応であれば、休日労働の扱いになるかどうかも合わせて確認が必要です。
会社は休日の連絡ルールをどう決める?
会社は、休日に連絡してよい場合、応答の要否、対応した時間の記録方法を就業規則や運用ルールに書き、社員に示しておきます。厚生労働省のテレワークガイドラインも、時間外や休日の業務の指示・報告の在り方について、電話も含めて会社がルールを設けることを長時間労働対策の一つとして挙げています。
同ガイドラインでは、時間外・休日・所定外深夜のメール送付の抑制、休日などに事前の許可なくシステムへアクセスできないようにする設定、時間外・休日労働の手続きを就業規則に書いて示すことなども例として挙げています。社用携帯については、次の項目を決めておくと運用しやすくなります。
- 休日に電話をしてよい事案(障害対応、緊急の顧客対応など)と、翌営業日に回す事案の区別
- 休日の当番を置くかどうか。置く場合の担当者の決め方と、その時間の扱い
- 当番以外の社員が電話に出なくてよいこと、出なかったことで不利益に扱わないこと
- 対応した時間の記録と申告の方法
代表番号や窓口の電話を携帯へ転送している会社は、休日の転送先を当番の端末だけにするなど、番号の設定もルールに合わせます。番号の扱いは法人携帯番号の引継ぎルール、社用携帯の使い方の決まりは法人スマホのアプリ利用ルールも参考にしてください。
相談先・申込先の選び方
休日の電話対応が労働時間に当たるか、休日労働の手続きが足りているかといった個別の判断は、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。厚生労働省の案内では、総合労働相談コーナーは各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などの378か所にあり、予約不要・無料で、労働者と事業主のどちらからの相談も受け付けています。
就業規則の作り直しや当番制度の設計は社会保険労務士、未払い賃金をめぐる争いなど法的な判断が必要な場合は弁護士に相談する方法もあります。相談するときは、休日の連絡に関する指示の内容(メールや規程)、電話の着信や対応の記録をそろえておくと、話が進みやすくなります。
よくある質問
休日に会社からのメールを読んだだけでも労働時間になりますか
メールを読んだ時間が労働時間に当たるかは一律には決まらず、読むことや返信を会社が義務づけていたかなど、指揮命令下にあったかどうかで個別に判断されます。迷う場合は労働基準監督署などに、指示の内容が分かる資料を持って相談してください。
休日に社用携帯の電源を切ってもよいですか
休日に社用携帯の電源を切ってよいかは、就業規則や会社の指示によります。会社が休日の待機や応答を求めないのであれば、その旨を規程に書いておくと社員が判断しやすくなります。待機を求める場合は、その時間の扱いを事前に決め、社員に説明しておく必要があります。
出典(2026年10月21日確認)
- 厚生労働省「労働時間・休日」
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」PDF
- 裁判所「最高裁判所第一小法廷 平成14年2月28日判決(平成9(オ)608)」
- 裁判所「最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日判決(平成7(オ)2029)」
- 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
- 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」本文PDF
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
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同じ前提で比べると、違いを確かめやすいよ。