契約・名義

法人名義と個人名義の違い

会社で使う携帯を「法人名義」で契約するか、社員や代表者の「個人名義」で契約して費用を会社が負担するかで、使える料金プランや割引、手続き、退職時の扱いが変わります。公式情報で確認できる違いを並べました。

情報の確認日:2026年10月11日(各社公式ページ)

要点

法人専用プランや法人向け割引は「契約者が法人であること」を条件にしているものが多く、個人名義では使えません。一方、個人名義のまま会社が費用を負担すると、番号や端末の管理、退職時の引き継ぎ、経費の区分を会社側で決める必要が出てきます。

法人名義でないと使えないプラン・割引の例

ドコモの「ドコモBiz データ無制限」と「ドコモBiz かけ放題」は、利用規約の資料で契約者名義が法人のプランとされ、NTTドコモビジネスの料金ページでも「法人専用プラン」と表示されています。ビジネスメンバーズ割(税抜250円引き)も、法人名義で対象プランを契約し、月末時点でドコモビジネスメンバーズに加入していることが条件です。

ワイモバイルの法人契約割引3は、法人名義・同一請求書内でシンプル3 S/M/Lを2回線以上契約すると基本使用料から最大1,000円(税抜)を割り引くもので、公式ページに「個人契約は対象外」と明記されています。楽天モバイルの法人Web申込は、商業登記が済んだ法人または官公庁を対象としています。

このように、法人向けとして公表されている価格は法人名義を前提にしています。個人名義で同じ価格を想定して予算を組むと、実際の請求額と合わなくなります。

個人名義で会社が費用を負担する場合に起きること

社員個人の名義で契約し、会社が料金を負担する(または手当を支給する)運用もあります。この方法は手続きが簡単な反面、次の点を会社が決めておく必要があります。

  • 番号の帰属:契約者は社員なので、退職時に番号を会社に残すには名義変更(譲渡)の手続きが必要です。社員の同意がなければ番号は社員とともに離れます。
  • 端末とデータ:端末の所有者が社員になる場合、会社の情報を消去する手順やMDMの導入範囲を事前に合意しておく必要があります。社用スマホとBYODの比較も参考にしてください。
  • 請求書と経費:請求書の宛名が個人になるため、会社の経費として処理する際の証憑の扱いを経理担当者や税理士と確認します。

個人事業主の場合:業務分と私用分の区分

個人事業主が1台の携帯を仕事とプライベートの両方で使う場合、その通信費は家事関連費にあたる可能性があります。国税庁のタックスアンサー(No.2210)は、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られると説明しています。区分の方法や割合は事業の実態によって異なるため、具体的な処理は税務署や税理士に確認してください。業務専用の回線を別に持つと、この区分の手間を減らせます。

個人名義から法人名義へ切り替える手順

ワイモバイルの法人ブログ(2026年5月15日掲載)は、個人名義から法人名義へ切り替える方法として、今の通信会社のまま名義だけを変える「名義変更(譲渡)」と、法人名義で他社へ乗り換える「MNP」の2つを挙げ、乗り換えを考えている場合は先に今の通信会社で法人名義に変更してから法人としてMNPする順序を勧めています。UQ mobileの法人契約ページも、個人名義の番号はそのままでは法人名義でMNP契約できず、転出元で事前に名義変更が必要と案内しています。楽天モバイルは、MNPの際に現在の携帯電話会社の名義と楽天モバイルの契約名義が同一であることを求めています。

同ブログでは、名義変更の際に個人プランの違約金や分割払い中の端末代金の一括清算が必要になることがあるとも注意しています。端末の残債がある社員の番号を引き継ぐ場合は、その費用を誰が負担するかを先に決めておくと手続きが止まりません。

なお、社名が変わった場合の手続きは「名義変更」ではなく「改称」として別に扱う会社があります。ドコモの案内では、会社名の改称には3か月以内の履歴事項証明書と来店者の本人確認書類、委任状・社員証・名刺のいずれかが必要で、契約事務手数料は無料とされています。

契約者が法人だと消費者向けのルールが一部適用されない

総務省の資料「消費者行政の推進について」(令和4年11月)では、電気通信サービスの消費者保護ルールのうち一部について、法人契約(法人その他の団体である利用者が営業のために締結する契約等)は適用除外と記載されています。どのルールが対象かは同資料と電気通信事業法の条文で確認が必要ですが、法人名義の契約では、個人契約と同じ保護が当然に受けられるとは考えず、契約内容を書面で残しておくことが大切です。見積もり依頼で聞くべき項目に、書面で確認したい点をまとめています。

名義を決める前に確認する3点

第一に、使いたいプランや割引が法人名義を条件にしているかどうかです。法人専用プランや法人向け割引を前提に予算を組むなら、法人名義で契約することが前提になります。第二に、番号を誰のものにするかです。取引先に伝えた番号を担当者が替わっても使い続けたいなら、会社に番号が残る法人名義が向いています。第三に、手続きの負担です。法人名義の契約には登記事項証明書などの書類と担当者の書類がそろっている必要があり、窓口によっては登記住所での郵便物の受け取りも求められます。少人数の会社では、この手続きを誰が担当するかも決めておきましょう。

社内規程に書いておきたいこと

どちらの名義を選んでも、運用のルールを文書にしておくと後のトラブルを防げます。法人名義なら、端末の貸与と返却の手順、私用の範囲、紛失時の連絡先、退職時に端末とSIMを回収する手順を決めます。個人名義で会社が費用を負担するなら、会社が負担する範囲(基本料のみか、通話料も含むか)、精算の方法、退職時に番号を会社へ譲渡するか社員が持ち続けるか、会社のデータを消去する手順を決めておきます。いずれの場合も、社員に説明して同意を得たうえで運用を始めることが大切です。

比較表:法人名義と個人名義

項目法人名義個人名義(会社負担)
法人専用プラン・法人割引条件を満たせば利用できる法人名義を条件とするものは利用できない
契約手続き法人確認書類と担当者の書類が必要個人の本人確認書類で手続き
退職・異動時の番号会社に残る名義変更しない限り社員に帰属
請求書の宛名法人個人
端末の管理会社の資産として管理しやすい社員との合意が必要

出典(2026年10月11日確認)

料金・条件は改定されます。申込前に各社の最新ページと見積書・契約書面で確認してください。